こんにちは。Yukiです。
今回は、リフロー実装で使うステンシルを作ってみたいと思います。
なぜ作るのか?
基本的に、ステンシルは自分で作るものではなく、基板を発注したときに一緒に作ってもらう場合が多いです。
ステンシルを使うメリットとして
- ペーストハンダを確実に乗せられる
- ミスが少なくすむ
- 流れ作業になるので、効率が良くなる
- などなど…
です。
ちなみにですが、ステンシルは大量生産したときなどに使われることが多いので、個人でやっている方は、使ったことがない人も多いのではないでしょうか?
(少なくとも私は、電子工作を始めて5年目くらいになりますが、一度も使ったことはないです)
材料
アルミ板
頑張れば、アルミ缶からでもできるみたいですが、アセトンなどの薬品が必要です。(塗装を剥がすため)
手元にあった除光液でやってみましたが、うまくできなかったので、自分はアルミの板を購入しています。

今回は0.12mmのアルミ板を使用します。
今回は、上の商品を使用しました。
オキシドール
アルミ板のエッチングに必要となります。
実はアルミなので、強アルカリ性でも溶けますが、どの薬局にも苛性ソーダの取り扱いがなかったため、今回は強酸性で溶かします。
サンポール(塩酸)
アルミ板のエッチングに必要です。オキシドールと混ぜて使います。
銅であれば、オキシドール+クエン酸+塩でも出来るのですが、アルミ板は酸化皮膜だかなんかの関係で、塩酸じゃないとできません。(正確にはクエン酸でもできなくはないが、すごい時間がかかる)
今回は身近にある塩酸ということで、サンポールを使いました。
おそらくですが、10%程度の塩酸でも問題ありません。
転写シート
ステンシルのマスクをする(溶けて欲しくないところを保護する)ために、転写シートを使います。
↑今回はこの製品を使いました。結構良さげです。
(前にAliExpressで買ったやつは全部捨ててしまったので… 捨てなきゃよかった)
レーザープリンタ
転写シートに印刷するために、レーザープリンターが必須です。(インクジェットではできません)
自分が使っているのもBrotherの安いやつですが、全然使えています。多分レーザープリンターならなんでも大丈夫です。(職場とかにおいてあって、転写シートをセットできるのであればそれでも大丈夫)
アイロン or MHP50みたいな温調可能なホットプレート
レーザープリンターで印刷した転写シートを、アルミ板に転写するために使います。
アイロンでもできなくないですが、個人的にうまく転写できなかったので、MHP50推奨です。
(そもそもリフローハンダしたいのであれば、持っている人が多いのでは?ということでMHP50推奨にしておきます)
MHP50 – AliExpress
ちなみに、MHP50はアリエクだと相当安く買えます。(自分は上の商品を買いました)
青色マッキー
完璧に転写できないので、修正用に必要です。黒でも大丈夫ですが、なぜか青のほうが強いです。
(太いタイプ+細いタイプ両方買うことを推奨しておきます)
印刷
まず回路設計ソフトのぺースレイヤーを印刷する必要があります。
まず今回使ったソフトは、
- KiCad 8.0
- Inkscape v.1.4.2
を使用しました。

今回は、ベクタソフトで読み込ませて、色々やりたいので、svgファイルで出力します。
上にあるプロットをクリック。
反転してプロットにチェックを入れる。
出力フォーマットをSVGにして、プロットします。

出力されたファイルから、 ○○○-F_Paste.svgを探し、開きます。(もし裏面のぺースレイヤーを開く場合は、○○○-B_Paste.svg)

次に、ちょっとだけパッドを小さくします。右側にあるパスエフェクトをクリックし、▼をクリックると、オフセットと出てくるので選択します。

オフセットを-0.05mm ~ -0.1mmくらいに変更します。(今回は-0.05mm)

ちなみになんですが、黒い場所が残ります。ということで、このまま印刷すると、本来残ってほしいところが残らず、逆にいらないところが残ることになります。ということで、色を反転させます。
左側にある矩形(四角いやつ)をクリックして、黒くしたい場所の範囲を指定します。

こんな感じですね。(色はいい感じに変更しています。あと、もしかするとパッドが消えるかもしれないですが、大丈夫です)

先程書いた矩形を選択して、右側にあるフィル/ストロークを選択。LをMAXに AもMAXに変更します。

そうすると真っ白くなったかと思います。次に、右側にあるレイヤーとオブジェクトで、矩形を一番背面に設定します。やり方は色々あると思うのですが、ここでは、レイヤーとオブジェクトを使ってやります。
rectXXXが矩形で、gYYYが追加したパッドです。上にあればあるほど、前面なので、rectYYY(今回だと、rect106)をクリックしたまま、gYYY(今回だとg106)の下に持っていきます。

こんな感じになればOKです。

色を反転させます。
エクステンション→色→ネガ を選択。

上はネガしたあとに、コピーしたものです。こんな感じであればOKです。

印刷したものがこんな感じです。-0.1mmだと、線が消えちゃっていますね。

-0.05mmくらいがちょうどよいと個人的には思います。
印刷するコツですが、
- 濃さ設定がある場合はMAXに
- 個人的には手差しトレイのほうがきれいに印刷できる
転写していく
実はこの作業が一番大変だったかもしれないです。今では確立できたので、ほぼ100%成功します。(MHP50の場合)
アイロンの場合
アイロンの場合、成功率は低いです。正直言っておすすめしません。
- アイロンの温度を高(MAX)にする
- アルミの板を無水エタノールで脱脂しておく
- アルミと転写シートを重ねて、上からアイロンで押さえる
- 4分間くらい温めたまま
- 水に浸して冷やす&紙をふやけさせる
- 転写シートを剥がして終了
MHP50の場合
まず転写シートとアルミ板をセットします。
上から、
重石
紙(20枚くらい)
アルミ板
転写シート
って感じでやってうまくいきました。紙は、上の重石がアルミだったので、熱が伝わるのを防ぐためです。
温度は220℃にセット。220℃に達したら、そこから5分くらい加熱します。
最後剥がしにくいので、水に浸しておき、紙がふやけたら剥がします。


(温度が高いので若干焦げて色が変わっています。これくらいで大丈夫です)

水でふやけさせることで、めちゃくちゃキレイに転写できます。
修正

周りをFPテープで保護します。今回は黄色を使用しましたが、透明とかが良いと思います。(エッチングできているか見やすい)
更に、うまく転写できていないところなどに、青色マッキーで修正していきます。

(いろいろ試した結果テープを張ったほうが良いことがわかりました。この写真はその前のときのやつなので、テープは付いていません)
エッチング
アルミをエッチングする時、酸化皮膜の関係で、クエン酸では全く溶けないため、塩酸を使います。
身近にある塩酸だと、サンポールあたりだと思います。
今回は、オキシドールとサンポールを1:1の割合で混ぜました。
注意点ですが、危険なガスが出ている可能性があるので、必ず換気しながら行ってください。
(H2O2(オキシドール) + 2HCl(塩酸) → 2H2O(水) + ↑Cl2 (塩素))


こんな感じでエッチング中は泡が出てきます。ちなみに、常温だと反応が悪いので、湯煎しています。
(今回は比較的硬いプラスチックで熱伝導率が悪そうだったので、90度くらいのお湯で湯煎しました)
(なぜか途中から泡立ってくるのですが、サンポールが洗剤だからかもしれません)
エッチング後
アルミに穴が空いたなと思ったら、すぐに引き上げて、大量の水で洗います。(塩酸による腐食を防ぐため)
自分は、その後石鹸で洗っていますが、多分意味ないかもしれないです。
評価

ステンシルは意外に寛容で、ペーストがちゃんとくっついていればいいみたいです。今回だと、溶けたところがシャープではないですが、こんなんでもちゃんとリフローできます。

ちょっと多すぎなんですかね?

適当に乗っけて…

リフロー成功です!きれいにくっついていますね。
これペーストつけるだけなので、ブリッジとか考えなくてよくて楽ですね。(まあこれくらいの基板であれば手動でやってもあんまり変わらないかもしれないですが)
エッチング液の処理
アルミは重金属ではないので、大量の水で薄めて流すのもありみたいですが、ちょっと怖いので、自分は重曹で適当に中和して、セメントで固めて捨てました。
余談
実は初めてのリフローだったんですが、とてもおもしろいですね。上に部品を置くだけなので、精神的にも楽です。今回はMHP50でワークスペースが50x50mmくらいしかないので、複数まとめてなどはできませんが、もう少し大きいもの(例えばホットプレートとか)でやったらもっと良い結果になるのかな?なんて思いました。
ステンシルも、一番面倒だった転写がとても簡単にできたので、今後も定期的にやっていきたいと思います。
それではみなさんも、よいステンシルライフを~。

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